ダンスがすんだ
新潮社 <2004年> 1200円(税別)
四六版クレスト装/160ページ
装丁・吉田篤弘+吉田浩美
回文をつないで、つないで、長編に仕立て上げた絵物語。イラストも濃密で見ごたえあり(当社比。自画自賛)。人間と猫と恋と革命の話です。
どちらかというと回文の技巧よりも、ストーリー展開と絵に重きを置いた本なので、言葉遊びにさほど興味がないかたでも、絵物語として読んでいただければ楽しんでいただけると思います。これが回文の本と気づかずに「面白かった」と言ってくれた人が何人かいますから間違いありません。
物語の中で、社会階級的に低い立場にいる猫族が過酷な環境での低賃金労働に甘んじている場面が描かれています。あれは何をやっているかというと、食玩フィギュアの色塗りをしているのです。猫でも雇わないと低コストでああいう手仕事はできないはずと前々から思っていたのです。私の頭の中ではそういう設定ですが、何の説明もないので、ここで披露してみました。
本の天地小口の三方に色がついているのは「小口染め」といいます。これは機械化できないらしく、一冊一冊手で塗ってもらいました。小口染めにしたいというのは私のたっての希望で、夢を叶えてもらいました。
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