長めのいい部屋


中央公論新社 <2005年> 667円(税別)
文庫本/92ページ
装丁・吉田篤弘+吉田浩美


雑誌『雑貨カタログ』に連載された短編漫画に、中編を書き加えた作品集。
擬人化された動物が、人間と同じように街で暮らしている何気ない日常を描いた作品です。ほのぼの度・大。

1999年に主婦の友社から上製本が出版されていますが、現在はこの文庫版のみ。
文庫版オリジナルも4話収録。
ちなみに作中に「長めの部屋」は出てきません。それを描こうとしなかったのはなぜなのか、今となっては自分でも思い出せません。

・動物が、直立二足歩行で暮らしていて現代的な日常生活を送っている。
・動物だからといって、ケモノ的行動はしない。
・動物は服を着ていない。

といった、自分が擬人化動物イラストを描く上での指針が、ここでほぼ確立されました。
この本の中の登場動物を他のイラストの仕事や漫画に出張させて描いているうちに、俳優事務所、スターシステムのごときキャラクター起用法も出来、どの動物たちも成長しつつ働いてくれています。

以前、ブルボン小林さんの『ぐっとくる題名』という本の中で、『長めのいい部屋』という題名の良さについて数頁を割いて褒めていただくという光栄に預かりました。文中でブルボンさんは作品の内容にはただの一言も触れず、題名のことだけで延々と考察を書き連ねていて、本の趣旨があるとはいえその徹底ぶりに呆れました。
かくいう私もこのパロディ題名の元となったE・M・フォースターの『眺めのいい部屋』を読んでいないし、映画もまだ観ていません。

nagame
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