夢みごこち


平凡社 <2011年> 1400円(税別)
四六判上製/154ページ
装丁・名久井直子


「夢の物語」について、おそらく誰もが耳にしたことのある戒めが二つあると思います。
一つは「他人が話す夢の話ほど退屈なものはない」ということ。
今一つは「物語を作る時、夢オチはやってはいけない」ということです。
さんざん話をした最後に「じつは全部夢でした」は許されません。 だから夏目漱石も百三年前、「こんな夢を見た」という書き出しで『夢十夜』をしたためたのです。

そんな制約はあれど「夢」というものには、見た者を酩酊させる魅力があり、だからこそ、人はしばしば、他の誰かにとってはとても退屈な、自分の夢の話を熱心に話してしまうのではないでしょうか。

今作『夢みごこち』は、そういった夢の不思議さを、なんとかタブーに触れない方法で物語化できないものか、そう考えながら作った本です。

動物キャラクター多種出演。SF的ディティール、遭難譚、皮肉な結末。要するに作者の好きなものが沢山入っています。